「研究における利益相反(COI)に関する指針」の実施要項
一般社団法人日本DNA多型学会「研究における利益相反(COI)に関する規程」の考え方に沿って,次のとおり実施要項を定める.
第1条(本学会学術集会等における利益相反(Conflict of Interest: COI) 事項の申告)
第1項
会員,非会員の別を問わず本学会が主催する学術集会や市民公開講座等で研究に関する発表・講演を行う場合,筆頭発表者は,配偶者・一親等の親族・生計を共にする者も含めて,当該発表に関して,「研究に関連する企業・法人組織や営利を目的とした団体(以下,企業・組織や団体という)」との経済的な関係について過去3年間におけるCOI状態の有無を,抄録登録時に所定の様式(様式1)により自己申告しなければならない.但し、筆頭発表者が学部学生など学生会員の場合には、その研究責任者も筆頭発表者と同様の様式によりCOI状態の有無を自己申告しなければならない。
筆頭発表者は該当するCOI 状態について口演発表のスライドの最初に,ポスター発表については最後に,所定の書式により開示しなければならない.但し、筆頭発表者が学部学生など学生会員の場合には、研究責任者を明示してそのCOI状態について開示しなければならない。
第2項
前項に定める企業・組織や団体との間に研究に係る次のような関係があれば特別に注意を払わなければならない.
1 研究を依頼し,または共同により行った関係(有償・無償を問わない)
2 研究で評価される機器や製品等に関連して特許権等の権利を共有している関係
3 研究で使用される機器や製品等を無償もしくは特に有利な価格で提供している関係
4 研究について研究助成・寄付等をしている関係
第3項 発表に関連する「研究」とは,本学会に関連する研究すべてを含む.
第2条(COI自己申告の基準について)
以下の各号に該当する場合は,当学会に対してCOI申告を行わなければならない.
1 企業・組織や団体の役員・顧問職については,一つの企業・組織や団体からの報酬額が年間100万円以上の場合.
2 株式の保有については,一つの企業についての1年間の株式による利益(配当・売却益の総和)が100万円以上の場合,あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合.
3 企業・組織や団体からの特許権使用料については,一つの権利使用料が年間100万円以上の場合.
4 企業・組織や団体から,会議の出席(発表)に対し,研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料等)については,一つの企業・組織や団体からの年間の講演料が合計50 万円以上の場合.
5 企業・組織や団体がパンフレット等の執筆に対して支払った原稿料については,一つの企業・組織や団体からの年間の原稿料が合計50 万円以上の場合.
6 企業・組織や団体が提供する研究費については,一つの企業・組織や団体から研究 (受託研究費・共同研究費等)に対して支払われた総額が年間100 万円以上の場合.
7 企業・組織や団体が提供する奨学(奨励)寄付金については,一つの企業・組織や団体から,申告者個人または申告者が所属する部局あるいは研究室の代表者に支払われた総額が年間100 万円以上の場合.
8 企業・組織や団体からの外国旅費・贈答品等の受領総額が年間5万円以上の場合.
9 企業・組織や団体から高額機器の贈与,あるいは長期におよぶ無償貸与がある場合.
10 企業・組織や団体に申告者らが所属している場合(寄附講座を含む).
11 申告者が関係する法人の業務(大学において受ける教育以外の活動に携わらせる場合) に学生を参加させること.
但し,6・7については,筆頭発表者個人か筆頭発表者が所属する部局あるいは研究室等へ,研究成果の発表に関連し,開示すべきCOI 関係にある企業・組織や団体等からの研究経費・奨学寄付金等の提供があった場合には,それらの金額の総額を申告する.
第3条(学会誌『DNA多型』投稿時の届出等)
第1項
本学会の学会誌『DNA多型』にて発表(原著論文等)を行う著者全員(日本人)は,投稿時から遡って過去1年間以内におけるCOI状態をCOI自己申告書(様式1)により事前に学会事務局へ届け出なければならない.
第2項
投稿時に自己申告するCOI状態は,本学会の「研究における利益相反(COI)に関する指針」で定められた事項を自己申告することとし,各々の開示すべき事項について,自己申告が必要な金額は本実施要項第2条にしたがう.
第3項 学会誌『DNA多型』以外の本学会刊行物に発表する場合もこれに準じる.
第4項 本学会に提出されたCOI自己申告書(様式1)は論文査読者には原則として開示しない.
第4条(役員,委員長,委員等のCOI 申告書の提出)
第1項
本学会の役員(理事長,副理事長,理事,監事),学術集会長,各種委員会の委員長と特定の委員会(倫理委員会、COI調査委員会)委員(以下、役員等)は,就任時の過去3年間におけるCOI状態の有無をCOI自己申告書(様式2)により,新就任時,および就任後は1年ごとに,学会事務局へ提出しなければならない.
第2項
役員等は,在任中に新たなCOI 状態が発生した場合には,8週以内に改めて報告する義務を負うものとする.
第5条(COI自己申告書の取り扱い)
第1項
学会発表のための抄録登録時あるいは本学会雑誌への論文投稿時に提出されるCOI自己申告書は提出の日から3年間,本学会事務局で厳重に保管される.同様に,役員等の任期を終了した者,委員の委嘱の撤回が確定した者に関するCOI情報の書類等も, 最終の任期満了,あるいは委員の委嘱撤回の日から3年間,理事長の監督下に本学会事務局にて厳重に保管する.
第2項
COI 情報は原則非公開とする.ただし,学会の活動等に関して本学会として社会的・道義
的な説明責任を果たすために必要があるときは,理事会の協議を経て,必要な範囲で本学会の内外に公表することができる.
第3項
(1) 非会員から特定の会員を指名した開示請求(法律に基づく開示請求を含む)があった場合,相当な理由があるときは,理事長からの諮問を受けた第6条で規定する委員会が,個人情報の保護を考慮しながら対応する.
(2) 第6条で規定する委員会で対応できないと判断された場合には,理事長が指名する本学会会員若干名および外部委員1名以上により構成されるCOI調査委員会を設置して諮問する.COI調査委員会は開示請求書の受領から30日以内に委員会を開催して可及的速やかにその答申を行う.
第6条(COI委員会)
(1) 当面の間,COIに関する事項を扱う委員会は倫理委員会とする.
(2) 本実施要項では上記COIに関する事項について扱う委員会をCOI委員会と呼ぶ.
(3) COI委員会は,理事会と連携して、研究における利益相反(COI)に関する指針ならびに本実施要項に定めるところにより,会員のCOI状態が深刻な事態へと発展することのないようマネージメントを行う.
(4) 本実施要項の違反に対する対応は理事会が行う.
第7条(違反者に対する措置)
第1項
(1) 本学会の学会誌『DNA多型』で発表を行う著者,ならびに本学会学術集会等の発表予定者から提出されたCOI 自己申告事項について,疑義もしくは社会的・道義的問題が発生した場合,編集委員長、或いは、学術集会長からの諮問によりCOI委員会が十分な調査,ヒアリング等を行い,判定の結果を理事長に報告する.
(2) COI委員会の報告が深刻なCOI状態にあるとの判断が下された場合は,理事長は理事会に付議し審議の上,当該発表予定者の論文発表や学会発表の差止めなどの措置を講じることができる.既に発表された後に疑義などの問題が発生した場合には,理事長は事実関係を調査し,違反があれば掲載論文の撤回などの措置を講じる.
(3) 違反の内容が本学会の社会的信頼性を著しく損なう場合には,理事長は本学会の定款に従い,会員資格等に対する措置を講じることができる.
第2項
第4条で指定された役員等が,就任前あるいは就任後に申告されたCOI事項に問題があると指摘された場合には,COI委員長は文書をもって理事会に報告し,理事会は速やかに開催され当該指摘を承認するか否かを議決しなければならない.当該指摘が承認された時,役員(候補者含む)にあっては退任し,また,その他の委員に対しては,当該委員(候補者含む)と協議のうえ委嘱を撤回することができる.
第8条(不服申し立て)
第1項(不服申し立て請求)
第7条1項により,本学会事業(学会誌投稿・学術集会発表等)に対して違反措置の決定通知を受けた者ならびに,第7条2項により役員等の退任あるいは委員の委嘱の撤回を受けた者は,当該結果に不服があるときは,結果の通知を受けた日から7日以内に,理事長宛ての不服申し立て審査請求書(様式3)を学会事務局に提出することにより,審査請求をすることができる.審査請求書には,COI委員長が文書で示した撤回の理由に対する具体的な反論・反対意見を簡潔に記載するものとする.その場合,COI委員長に開示した情報に加えて異議理由の根拠となる関連情報を文書で示すことができる.なお、請求人が理事長の場合は他の理事宛の不服申し立て審査請求書を学会事務局に提出するものとする。
第2項(不服申し立て審査手続)
(1) 不服申し立ての審査請求を受けた場合,理事長は速やかに COI調査委員会を設置しなければならない.COI調査委員会は理事長が指名する本学会会員若干名および外部委員1名以上により構成され,委員長は委員の互選により選出する.COI委員会委員は COI調査委員会委員を兼職することはできない.COI調査委員会は不服申し立てに関する審査請求書を受領してから30日以内に調査委員会を開催してその審査を行う.
(2) COI調査委員会は,当該不服申し立てに関して,COI委員会委員長ならびに不服申し立て者から必要がある時は意見を聴取することができる.
(3) COI調査委員会は,特別の事情がない限り,審査に関する第1回の委員会開催日から30日以内に不服申し立てに対する答申書をまとめ,理事長に提出する.
(4) COI調査委員会の結論を以て最終とする.
(5) 不服申し立ての審査請求人が理事長の場合には、不服申し立て審査請求書に記載された受領者である理事が本項における理事長の業務を代行する.
第9条(実施要項の変更)
COI委員会は,本実施要項の見直しのための審議を行い,理事会の決議を経て,変更することができる.
第10条(専属的管轄裁判所)
本実施要項に関連して係争が生じたときには、事務局が所在する地域等の地方裁判所を専属的管轄裁判所とする.
附則
第1条(施行期日)
本実施要項は,平成29年1月1日から施行する.
第2条(役員等への適用に関する特則)
本実施要項施行のときに既に本学会役員等に就任している者については,本実施要項を準用して速やかに所要の報告などを行わせるものとする.
第3条(誓約書)
本実施要項施行により COI情報を取り扱う者は別紙にある誓約書を理事長に提出する.
付帯事項
本学会員が本学会の事業活動とは関係のない学術活動に参画する場合においても,COI規程の遵守が求められる.