日本DNA多型学会 第20回学術集会

公開シンポジウム

日本DNA多型学会第20回学術集会・公開シンポジウム
横浜市環境創造局後援

「DNA多型から見た生物の多様性」


開催日時:平成23年 11月30日(水)14:00〜18:30(開場 13:45)
開催会場:はまぎんホール ヴィアマーレ
     (http://www.yokohama-viamare.or.jp/viamare.html
     〒220-8611 神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目1番1号
      Tel:045-225-2173

入場無料


開催責任者:津田とみ(徳島文理大学・東海大学)
         柳本 卓(中央水産研究所)
         北村 徹(日本エヌ・ユー・エス株式会社)
         小林敬典(中央水産研究所)

連絡先:津田とみ
      〒770-8514
      徳島県徳島市山城町西浜傍示180
      徳島文理大学人間生活学部
      Tel:088-602-8091 E-mail: tomitt@tokushima.bunri-u.ac.jp

      柳本 卓
       〒236-8648
      神奈川県横浜市金沢区福浦2-12-4
      独立行政法人 水産総合研究センター 中央水産研究所
      Tel: 045-788-7620   E-mail: yanagimo@affrc.go.jp

 

開催趣旨

  2010年10月に名古屋で「生物多様性条約第10回締約国会議」が開催され、生物多様性という言葉が広く知られるようになった。生物多様性条約は、@生物の多様性の保全、Aその構成要素の持続可能な利用、B遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を目的としているが、この生物多様性という言葉には幅広い内容が含まれており、単に生物の種類数が豊富であるかというだけの単純な意味ではない。条約条文によると「すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む。」と定義されているが、各々の多様性は相互に密接に関係しており、1つだけを取り出して保全や持続的利用を議論できるものではない。名古屋での締約国会議では、生物多様性の減少を防ぐために様々な議論が行われた結果、2050年までに生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用されるための「愛知目標」が採択された。

 上述した生物多様性の定義の中に“遺伝的多様性”という言葉はないが、種内の多様性も種間の多様性も遺伝的多様性によって維持されている。近年、DNA多型に基づく研究は分析機器の発展もあって、様々な生物種に対象を広げ、生物の遺伝的多様性の一端を捉えつつある。遺伝的多様性に関する研究成果は、生物多様性の評価や保全だけでなく、生物多様性の回復にも貢献できると思われる。

 また、生物多様性条約第10回締約国会議の前日までは、同じ会場においてカルタヘナ議定書第5回締約国会議が行われた。この会議では、国境を越えて移動した遺伝子組換え生物が、移動先の生物多様性や生態系に損害を与えた場合の責任と救済に関して議論され、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択された。DNA多型を利用した技術や研究成果は、遺伝子組換え技術だけでなく、遺伝子組換え生物の検出、あるいは影響評価にも応用できると思われる。本シンポジウムではDNA多型研究に足場を置き、生物の多様性とそれをとりまく様々な要因との関わりを研究テーマとしている研究者に集まってもらった。陸域、水域を含めた地球上の様々な地域に分布する生物から、いくつかの事例、実例を取り上げ、我々ヒトを含む生き物全体について専門的な立場からの知見を判り易く紹介してもらい、興味を持つ多くの人達が多様性について、もう一歩踏み込んだ思索を楽しめるような話題を提供したい。

  気候変動や社会情勢の移り変わりや先端技術の功罪を理解し、生物の多様性が持つ価値を意識し、持続可能な生物資源の利用について認識を新たにすることができる、楽しいシンポジウムとし、広く一般の方々とも意識を共有できる場を提供することが、本シンポジウムの趣旨である。

 

公開シンポジウムプログラム

DNA多型から見た生物の多様性

司会:北村 徹(日本エヌ・ユー・エス株式会社)

14:00〜14:15:開会挨拶 大澤資樹(東海大学)
シンポジウム趣旨説明 津田とみ(徳島文理大学・東海大学)

14:15〜14:45:北村 徹(日本エヌ・ユー・エス株式会社)
生物多様性に関する国際的な動向について

14:45〜15:15:正岡哲治(水産総合研究センター養殖研究所)
遺伝子組換え生物が生物多様性に及ぼす影響の評価と管理について

15:15〜15:45:星野浩一(水産総合研究センター西海区水産研究所)
生物多様性把握のためのDNAバーコーデイング

15:45〜16:00:休憩

16:00〜16:30:石崎松一郎(東京海洋大学)
食品材料としての生物多様性

16:30〜17:00:長井 敏(水産総合研究センター瀬戸内水産研究所)
海洋プランクトンの生物多様性研究におけるメタゲノム網羅解析の実践

17:00〜17:30:大西尚樹(森林総合研究所東北支所)
大型哺乳類の遺伝的多様性と保全

17:30〜18:00:津田とみ(徳島文理大学・東海大学)
ペンギンを通して見る南極を取り巻く生物の多様性保全

18:00〜18:30:総合討論
閉会挨拶:小林敬典(水産総合研究センター本部)

シンポジウムのちらしです。ダウンロードしてご活用ください。

PDFファイル

C)日本DNA多型学会 2010